《深淵の迫害者》が結果を残せない理由
昨日の優先権のお話の続き。
《深淵の迫害者》を使っていて「自分で壊せなくても最悪引き分けっしょ?」とか思っていると痛い目を見ます。
その典型的な例を。
A:《深淵の迫害者》をコントロール。ライフ:1。
B:ライフ:-10。
このとき、以下のいずれの状況も、Aだけが敗北してBが勝利します。
1.Bがトランプルを持つ7/1のクリーチャーでアタック。
Aが《深淵の迫害者》でブロックし、トランプルダメージがAに1点与えられる。
2.Bが6/1のクリーチャーと2/2のクリーチャーでアタック。
Aが《深淵の迫害者》で6/1をブロックし、2/2を素通しする。
3.Bが6点分の《ハリケーン》を唱える。
これらの状況に共通しているのは、
《深淵の迫害者》が破壊されるときにコントローラーのライフが0以下。
です。
ではなぜAだけが敗北するのでしょうか。
《深淵の迫害者》は破壊されて墓地に置かれるし、
ライフがお互い0以下なのだから引き分けになるのではないのでしょうか。
それは「《深淵の迫害者》が破壊される」ところに秘密があります。
そもそも破壊には大きく分けて2種類あります。
・呪文や能力の効果によって破壊される。
・状況起因処理によって破壊される。
上の3つの状況はすべて後者の「状況起因処理」による破壊です。
(タフネスが1以上の、致死ダメージを受けたクリーチャーを破壊する)
状況起因処理にはたくさんの処理があるのですが、
上記の破壊のほかに「敗北条件のチェック」があります。
状況起因処理はすべて一度に行われるため、
破壊のチェックと並行して敗北条件のチェックが行われます。
《深淵の迫害者》は致死ダメージを受けているので破壊されます。
Aはライフが0以下なので敗北条件を満たします。
しかしBはライフが0以下でもまだ破壊されていない《深淵の迫害者》の効果で敗北
しません。
従って破壊を行うのと同時にAの敗北だけが決定してしまうのです。
※《白金の天使》ではこれと逆のことが発生します。
同じ破壊でも先に挙げた例の前者。呪文や効果による破壊の場合にはまた結果が違います。
《忌まわしい最期》(※黒のクリーチャーを対象に取れませんが、ここでは例題)で
《深淵の迫害者》を破壊した場合。2点のライフロスが発生してAのライフは0以下になります。
状況起因処理のチェック時にはすでに《深淵の迫害者》が墓地に置かれているため、
ともにライフが0以下の条件より引き分けになります。
ビートダウン相手では、除去が引けないままライフレースで追いつかれるという状況があるでしょう。
また、クロックパーミッション相手では、除去をカウンターしさえすれば良いという状況を作り出してもしまうため、分が悪くなります。
こういった融通の利かなさが活躍できない理由の一端にあることは間違いないでしょう。
だから、もうちょっと安くなれよ、迫害者。